
自賠責で「非該当」とされた方へ――異議申立てで受傷が認められた事例から
交通事故で治療を受けたにもかかわらず、自賠責保険から「ケガはなかった(非該当)」と判断され、途方に暮れている方はいませんか。
実はこのような場合でも、すぐに諦める必要はありません。「異議申立て」という手続きを行うことで、結果が覆り、保険金が支払われる可能性があるのです。
なぜ「非該当」と判断されるのか
自賠責保険が非該当と判断する大きな理由の一つは、「自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見が乏しい」とされることです。
たとえば、むち打ち症のケースでは、レントゲンやMRIに骨折や明確な損傷が映らないことが多く、その結果「受傷なし」とされてしまうことがあります。
異議申立てとは
自賠責保険の判断に納得がいかない場合、被害者は「異議申立て」を行うことができます。
これは損害保険料率算出機構に対して行う手続きで、費用はかかりません。しかも、時効期間内であれば何度でも申し立てることが可能です。
成功の鍵は「新たな医学的証拠」
異議申立てでは、単に不服を述べるだけでは不十分です。重要なのは、最初の審査時には提出されていなかった「新しい医学的証拠」を揃えることです。
具体的には、次のような資料が有効です。
- 医師の新しい意見書
- 改めて実施した検査の結果
- これまで未提出だった検査データやカルテ
これらを準備するためには、主治医の協力が不可欠です。異議申立てを検討する際には、事前に主治医に相談し、意見書や医療照会への回答をお願いしておくことが望ましいでしょう。
当事務所での解決事例
当事務所で扱った事案をご紹介します。
被害者の方は、追突事故により頚部痛・腰部痛・肘痛を負いました。
しかし自賠責保険の初回認定では、
- 「事故後の治療については、身体に医療機関での治療を要する程度の外力が加わったとは直ちに認められない」
- 「本件事故後の治療と事故との相当因果関係は認められない」
とされ、治療費は認定対象外と判断されました。
さらに、頚椎打撲捻挫後や腰椎打撲捻挫後についても「医学的所見に乏しい」「既存後遺症があり、本件事故で障害程度が加重されたものとは言えない」とされ、後遺障害にも該当しないとの結論でした。
依頼者から相談を受けて受任後、当事務所では次のような対応を行いました。
- カルテの取り寄せ
- 医師への医療照会
- CT検査の追加報告書の作成依頼
- 事故状況を再現した動画・写真の提出
- むち打ち症に関する医学論文の添付
さらに申立書では、追突時に相当な外力が加わったこと、受傷機転とその後の経過を医学的資料と合わせて丁寧に説明しました。
その結果、異議申立てが認められ、受傷が正式に認定され、保険金が支払われました。
この事例は、「非該当」とされたとしても諦めず、適切な医学的証拠を揃えて主張を尽くすことで、認定を覆すことができることを示しています。
まとめ
自賠責から「非該当」とされても、それが最終結論とは限りません。新しい医学的資料を準備し、適切に異議申立てを行えば、受傷が認められることは十分にあります。
もっとも、医学的証拠の収集や主張の整理は専門的な知識を要するため、個人で対応するのは難しいのが実情です。
ご相談ください
当事務所では、これまで多数の交通事故案件を解決してきました。
「非該当」と判断されてしまった場合でも、適切な対応を取ることで認定を覆せる可能性があります。
交通事故による治療費や後遺障害の認定でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談で方向性を一緒に考え、解決までサポートいたします。
参考文献
- 『適切な賠償額を勝ち取る交通事故案件対応のベストプラクティス』
- 『「交通事故」実務入門』
- 『後遺障害入門 〈認定から訴訟まで〉〔補訂版〕』
- 『Q&Aハンドブック交通事故診療 第6版』
- 『詳説 後遺障害 ―等級認定と逸失利益算定の実務― [補訂版]』
- 『はじめての事件シリーズ 交通事故』